難聴はあなただけの問題ではありません

難聴になり始めると、ご本人の生活に大きな影響を与えます。そればかりかその影響は、周囲の人にも及びます。

以前は活動的で思いやりがあったのに、難聴になって別人のように変わってしまった家族の行動を、とりわけ人の輪の中で見るのは辛いことでしょう。単純に考えても、あまりに大きな音量となるためテレビを毎日一緒に見るのが苦痛となり得ます。

難聴は、他人との関わりという、人生の重要な部分に影響を与えます。多くの人は、難聴を認め、行動を起こすのに長い年月を要するかもしれません。しかし、難聴と付き合うことをそれほど大変なことと考える必要はありません。

難聴は欠かすことのできない社会的つながりを困難にしてしまうにも関わらず、それについて話したがる人はほとんどいません。実際、ほとんどの人は自分が難聴と認め、行動を起こすのに何年もかかっています。そこであなたのサポートがあれば、また違った話とすることができるでしょう。
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難聴を認める

私たちは年齢を重ねるほど、難聴を経験する可能性が高まります。実際に、世界の人口の5%以上の人が何らかの聞こえ難さを経験しています。不思議なことに、難聴者自身が最後にようやく気付いた、ということが良くあるのです。


あなたの周りの方が難聴になりはじめていないかどうか、以下の質問で確認してみましょう。

難聴への対処は必須です

補聴器を使われたことのある方は、「難聴に早く対処することで多くのものを得られた。もし、長い間そのままにしておいたら多くのものを失っていただろう。」と言われます。例えば、聞き取りに不可欠な神経は、刺激を受けなくなると音を脳に伝える能力を失ってしまいます。ですから、補聴器の装用をためらっている時間が長くなればなるほど、再び聞こえるようになるまでの時間も長くかかってしまうのです。

難聴に対処することによる恩恵

人間関係は良いコミュニケーションから成り立つものなのです。難聴はそれを阻害してしまいますが、補聴器を使うことで十分なやりとりを再び行うことができます。それだけでなく、補聴器を使用している人々は更に次のようなメリットも得ています。

認知能力

難聴を抱える高齢者は認知症になる可能性が高まりますが、補聴器の使用によって認知能力が好転するという調査結果があります。*

自信

豊かな音の世界を取り戻すために補聴器を使用することで、自分自身をコントロールし、自信を高めることができます。

幸福感

難聴はいらつきや孤独感を引き起こします。社会活動への参加能力を取り戻し、自信を持った生活が送れることで生活の質を引き上げます。

収入

難聴をそのままにしておくと、コミュニケーションに影響が及び、引いては仕事での評価や収入にも影響が及びかねません。

*Better Hearing Institute (BHI). Addressing Hearing Loss Proves Win-Win for Both Employer and Employee. Accessed May 2015.

お困りの方が近くにいらしたら

あなたの周りで難聴の方はいらっしゃいますか?
あなたがにもいくつかできることがあります。

  • 気にかけていることを伝える
  • 耳鼻科の予約を取り、希望があれば一緒に行くと申し出る
  • 難聴に対処することは大きな効果があることを気付かせる。そのメリットは多く、デメリットの心配はありません
  • インターネットで「補聴器」について調べ、補聴器の小ささや有効性を見せる
  • 何よりも難聴について理解を示し、寛大でいること、そしてあきらめないこと

小さくて賢い最近の補聴器

最近の補聴器はますます小さく、賢くなっています。その多くは、モバイル端末とワイヤレス接続ができ、補聴器に音声を直接届けることができます。さらに、アプリをリモコンように使用して補聴器を自分好みに微調節することができるものもあります。

補聴器はもはや高齢者の証しではありません。近年の補聴器は難聴に対処するだけでなく、補聴器装用者がもっと楽に、楽しく、他の人と同様の生活を送れるようにします。

補聴器の形状

耳かけ型(BTE)

耳の後ろに補聴器をかけるタイプです。音は細いチューブを通り、柔らかい耳せんや耳の形状に合わせたオーダーメイド耳せんに伝わります。このタイプは年齢や難聴の程度に関わらず対応できます。

外耳道内レシーバ耳かけ型(RIE)

補聴器本体が耳の後ろに隠れるほど小さいのが特長です。音を出すレシーバ部分が本体に含まれる耳かけ型とは異なり、レシーバは本体から離されチューブで接続されます。レシーバは柔らかい耳せんを付けて耳の中に入ります。このような構造から、外耳道内レシーバ耳かけ型は通常の耳かけ型より小さくできるのです。

耳あな型(ITE)

耳あな型は耳の形状に合わせてオーダーメイドで作成します。お手元が不自由でも耳に入れやすく、眼鏡やマスクを付ける時にも邪魔になりません。耳の形状や聴力に応じていくつかのタイプを用意しています。お選びになるタイプによって、装用した時の目立たなさは異なります。

補聴器の相談

補聴器をお試しになりたい場合は、販売店で予約を取ることをお勧めします。補聴器の相談は無料で、補聴器の調整に必要な聴力の測定や、きこえの状況についてカウンセリングを行います。

コミュニケーションの秘訣

難聴は多くのことを変えてしまいます。難聴でお困りの本人だけでなく、家族も悩まされます。このような変化に立ち向かう場合に、時にはイライラしたり社会的関わりが減ることもありますが、必ずしもそればかりではありません。ほんの少しの心がけで、難聴の方の手助けができます。

難聴の人と話す時にするべき4つのこと。
  1. 周囲の騒音を減らす
    難聴の方にとってテレビやラジオといった周囲の騒音は会話から音声を聞き取ろうとする時の妨げとなります。騒音は気を散らす原因となり、聞き間違えを生じさせます。ですから、難聴の方と話す前にはテレビやラジオやその他の雑音の要因を減らすようにしてください。

  2. 繰り返すのではなく、言い回しを変えてみる
    もし難聴の方が、あなたの言葉を最初に理解できないとしたら、あなたの言葉の中の特定の音が正確に聞き取れないからかもしれません。同じ文章を繰り返す変わりに、別の言葉に置き換えてみてください。この言い換えにより難聴者は、相手が何を話していたか、最初は聞き逃した部分を推測できるかもしれません。

  3. 話をする前に呼びかける
    難聴の方と会話を始める前に、相手の方の注意を引いてください。良く行われるのは、相手の名前を呼んでから会話を始める方法です。ほとんどの人は自分の名前を聞くと、気付きます。名前を呼ぶことによって、あなたが話していることを相手に知らせることにもなります。もしこの方法で相手の注意を引くことが出来なかったら、優しく手や腕に触れると良いでしょう。

  4. 重要な内容は書いて渡す
    数字は似通って聞こえます。混乱を避けるために、住所や電話番号、イベント日時や時間といった重要な情報は書いて渡すと良いでしょう。そうすることで、難聴者は必要な情報をきちんと把握できるでしょう。もし書いて渡すことができない場合は、相手が理解したか確認するために、復唱してもらうようにしましょう。


難聴の人と話す時に避けるべき4つのこと。

  1. 話している時に口元を手で隠さない
    難聴の方はしばしば、相手の話していることを完全に理解するために、読唇したり、表情を読んだりします。ですから、難聴の方と話す時は口が見えるようにし、相手が口を見ていることに注意を払い、はっきりと発音するようにしましょう。手で口を覆ったり、相手から顔をそむけたりしないように注意してください。

  2. 離れた場所や別の部屋から話しかけない
    もし話す時にあなたが別の部屋や離れた位置にいる場合は、あなたが話していることにすぐに気付かず、あなたの言葉の最後の部分しか聞こえないかもしれません。また、離れた場所から話すと、あなたの声がくぐもって小さくなり、聞く相手にとってあなたが話していることを正確に聞き取るのがとても困難になります。さらに、あなたが話しかけている相手は、あなたの顔から視覚的情報を得て、理解の手掛かりとすることができないのです。

  3. 他の人の話に割り込んだり、同時に話したりしない
    しばしば難聴の方は、会話についていくのが困難な場合があります。複数の人が話す状況で会話についていくことは、さらにいっそう困難なのです。難聴者が会話から置き去りにされないように、一人ずつ話すようにしましょう。1人の人が話し終わってから、次の人が話すようにしましょう。様々な人の話が交差すると、難聴者は話されている内容についていくのにとても苦労します。

  4. 早口にならないよう、また長い文章にしないように気を付ける
    難聴者は話されている一つ一つの言葉を理解するために、他の人よりも集中する必要があります。話すスピードが速いと、あなたが話したことを聴き手が呑み込み、理解する時間がその分短くなります。同様に、長い文章は難聴者にとって理解が困難になります。難聴者は文章の中でいくつかの単語を聞き逃したとしても、言われたことの趣旨は理解できます。しかし、文章が長くなればなるほど聞き逃した部分を埋めることがどんどん困難になります。


習うより慣れよ

これらの一般的な心構えを覚えておけば、難聴により引き起こされるほとんどの誤解を避けることができるでしょう。これらのヒントを実践することで不安や不満を減らし、難聴の方にも会話に参加してもらうことができるでしょう。これらの方法をまだ実践していないならば、ひとつずつ順番に、全てを試すまで続けてみてください。日常的にこれらの方法を行うことで、その内習慣づきます。これらを実践することで、難聴にお困りの身近な方との会話がより簡単で、より楽しいものになるでしょう。
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